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種鶏飼育管理マニュアル
X.雄♂の管理
X−1.雄の育成期の発育区分
* セルトリ細胞とは精液産生を行う上で、主役となる細胞です。
X−2.第一ステージの管理(入雛〜6週令)
雄の発育過程は基本的には雌と同様です。 育成期に良いスタートを切ることは器官と骨格の適切な発育にとって非常に重要で あり、ひいては受精率にも影響を与えます。餌付後の4週間において従来の雄より、大きく増体をさせます。4週令で690gを目指してください。
- 給餌・給水スペースは雌よりも広く確保してください(\.補足 P77参照)。
- 温度管理は雌と同様です。
- 目標体重は1週令150g、4週令690g(給餌日)です。
- デビークは切り過ぎないようにします(嘴先端の3分の1をカット)。
- 採食のバラツキにより、鶏群に不揃いが発生します。
- 成鶏時の交尾活動に支障をきたします。
(V.第一ステージ デビークの項 P19参照)
X−3.第二ステージの管理(7〜16週令)
制限給餌が厳しくなってくるステージです。雄管理プログラム成功への鍵は斉一性
を高めることです。斉一性を改善するには10〜12週令までの管理が重要です。良い
環境、給餌スペース、配餌、そして早い段階でのグレーディング(4、10週令時)
で、少なくともCV10%以下の斉一性を目標とします。
適切な成熟のため、育成期第二ステージでより大きい増体を必要とします。
- 給餌・給水スペースは雌よりも広く確保してください(\.補足 参照P77)。
* 給水器の水位、水圧、高さをこまめに調整してください。 - 温度管理は雌と同様です。
- 目標体重
- 床面管理をこまめに実施します。
- 床面の湿りは趾瘤症(しりゅう)や脚弱を誘発します。
- 腹部の冷えによる下痢や、コクシによるリアクションでも床面は悪化します。
- 換気調整によって舎内の水分を排出してください。
- 2〜12週令にかけて、成鶏時に精液を産生するセルトリ細胞が発達するので、適正な増体が必要です。
- 雄の選抜
第1回選抜は8〜10週令時に雌羽数に対して12.5〜13.0%を選抜します。
| 10週令(70日令) | 15週令 (105日令) |
|---|---|
| 1520g(無給餌日) | 2210g(無給餌日) |
選抜基準
体重の軽いもの、脚弱や嘴に異常があるものは淘汰します。
| 4週令 | 20週令 | 受精率% | ||
|---|---|---|---|---|
| 体 重 | シャンク長 | 体 重 | シャンク長 | |
| 560g | 7.1cm | 2800g | 12.9cm | 91.7 |
| 475g | 6.9cm | 2700g | 11.1cm | 85.0 |
| 360g | 6.4cm | 2530g | 10.4cm | 84.2 |
X−4.第三ステージの管理(17〜24週令)
この期間は性成熟が促進されるので、スムーズな増体が要求されます。
従来の雄に比べてより活動的な性格を持っているため良好な受精率が得られます。
この性格のため20週令時の雌雄比率は9%となるようにして下さい。成鶏期の配雄率にも注意が必要です。
- 配雄するまでは給餌・給水スペースは雌よりも広く確保してください(\.補足参照P77)。 給水器の水位、水圧、高さをこまめに調整してください。
- 温度管理は雌と同様です。
- 目標体重
- 床面管理をこまめに実施します。
- 床面の湿りは趾瘤症(しりゅう)や脚弱を誘発します。
- 腹部の冷えによる下痢によって床面が悪化します。
- 換気調整によって舎内の水分を排出してください。
- 15〜20週令の適正な体重誘導は、精巣発達のために大変重要です。
* この期間にヒートストレスを受けることは精巣の発達を著しく妨げます。 - 配雄の選抜
配雄時(20〜21週令)に雌羽数に対して9.0%選抜します。 極端に体重の大きいもの、体重の軽いもの、脚曲がり、指曲がり、背骨の曲がったもの、肉垂・とさかの異常なもの等を淘汰します。 - 配雄方法
- 各鶏舎、各ペン毎に雄の体重に片寄りのないように配雄します。
- 雌雄どちらかに性成熟のバラツキがある場合は下記のように配雄します。
- 配雄する雄は、各鶏舎、各ペン一部分に入れずに、まんべんなく分散します。
- 移動方式を採用している農場は、移動後、スムーズな増体が得られない傾向がありますので、対策として、給餌の増量をします。
- 育成期と成鶏期で同じ給餌器を使用することが望ましいでしょう。異なる場合には雄を雌の3〜4日前に移動して、雄給餌器や給水器に慣らせます。
- 過去のデータ、鶏群の状態等により、給餌量を適宜調整します。また、温度や輸送距離によって、更に考慮が必要です(雌の項P32参照)。
- 配雄率
- 配雄後の雌雄分離給餌
- 給餌トイの上にワイヤーグリルや板の蓋を乗せ、雄が採食出来ないようにします。
- 雄用の給餌ホッパーは10羽当たり1個用意します。 ホッパーの高さを一定にする為に、床面は水平に保ちます。 ホッパーの高さは雌が採食出来ないようにこまめに調整します。
- 雄用の飼料は、雄専用飼料(低エネルギー、低蛋白、低カルシウム)が望ましいですが代替えとして、育成用飼料も使用することが出来ます。
- 雄の断冠を行わないと雌雄分離給餌がより確実に実施できます。
- ワイヤーグリル、トイ蓋板はしっかりしたものを使用し、グリルのズレや、鶏が乗っても板にタワミができないものを使用します(分離給餌の徹底)。
- 全ての雄が採食出来る充分な給餌スペースが必要です。 雄用のホッパーは横揺れしないように固定し、高さはこまめに調節します。 床面は水平となるようにします。
- 雄については、育成期間中よりホッパーで給餌して、ホッパーに慣らしておくことが望ましいです。
- 雄用の各ホッパーへの給餌量は均等に配餌します。 雄が一斉に採食出来ることが必要です。
- 配餌時間は雌雄同時刻が望ましいです。
- 雌雄分離給餌を徹底させるために、少なくとも配雄後から雄の盗み食いが無くなるまで(26週令頃)は雌雄共に週2回の体重測定を実施し、雌雄の給餌量が適正かどうかを判断します。 雌雄の体重比率の目安はX−5成鶏期の管理P50をご参照下さい。
- 誤鑑について
配雄時に雌の誤鑑を見つけ出し、淘汰して下さい。誤鑑別された雄は、ブロイラー雛で羽鑑別のできない原因となります。
| 20週令(140日令) | 24週令 (168日令) |
|---|---|
| 2960g(無給餌日) | 3590g(無給餌日) |
| 週令 | 体重(kg) | 精巣重量(g) | 受精率(%) | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 軽 | 平均 | 重 | 軽 | 平均 | 重 | 軽 | 平均 | 重 | |
| 20 | 2.41 | 2.79 | 3.13 | 0.8 | 1.4 | 2.9 | |||
| 25 | 3.09 | 3.54 | 3.97 | 2.6 | 26.3 | 34.0 | |||
| 30 | 3.97 | 4.09 | 4.18 | 23.6 | 38.0 | 41.0 | 86.3 | 92.1 | 95.3 |
| 40 | 4.54 | 4.59 | 4.81 | 33.0 | 40.1 | 39.1 | 90.0 | 96.3 | 96.8 |
| 50 | 4.70 | 4.81 | 4.95 | 32.0 | 36.0 | 35.0 | 91.3 | 93.4 | 91.5 |
| 60 | 4.81 | 4.90 | 5.08 | 28.0 | 26.0 | 24.0 | 86.1 | 89.3 | 82.7 |
|
生涯受精率:
|
88.4 | 92.8 | 91.6 | ||||||
性成熟の遅い雄 →→ 性成熟の遅い雌へ配雄 !
20週令時の配雄率は9.0%を目安にします。
コッブ種鶏の雄標準体重値、標準給与量の指標は雌雄分離給餌法に基づいています。 雌雄分離給餌法は雄の過食過肥による受精率の低下を防止する為に必須です。 これにより受精率の改善ばかりでなく、雌の給餌スペースの増加や給餌量の正確なコントロールによって産卵性向上も期待できます。
方法 (下図参照)
雌雄分離給餌実施上の注意点
X−5.成鶏期の管理(25週令〜)
この期間は受精率・孵化率維持のために雄の適正な体重コントロールが重要になります。 急激に生殖器が発達する点灯刺激後4週間の間に適切な増体をしていることを確認して下さい。また、成鶏全期通じて安定した増体が必要です。体重の減量は受精率の低下につながります。
- 産卵開始から60週令までの雌雄体重比率の目安は下表のようになります。
- 配雄から60週令までの配雄率の目安は下表のようになります。
- 20週令の配雄後、23週令までに配雄率を8.5%にします。日々の管理において悪い雄を淘汰し、雄の給与量を調整します。このことによって強い雄が過肥になることを防止します。 極端に体重の大きいもの、体重の軽いもの、脚曲がり、指曲がり、背骨の曲がったもの、肉垂、とさかの異常なもの等を淘汰します。
-
雄の体重はアウト時でも5,500gを超えるべきではありません。通常、雄は過肥になり過ぎると姿勢が平らになってしまい(♂1)、
有効な交尾行動が減少します。体重を適正に維持、上方向に伸びた体型、姿勢を維持し、後半の受精率の改善を図ります(♂2)。
- 雄の胸形状を触診することは雄のコンディションを確認するのに良い方法です。定期的に雄の体型を確認し、胸形状が V 字型をキープ出来るよう目指して下さい。(フレッシングスコアー P36 ・ 37 参照)
- イントラスパイキング(45〜55週令)
| 週令 | ♀体重(g) | ♂体重(g) | 対雌体重比率 |
|---|---|---|---|
| 25 | 3080 | 3700 | 120% |
| 30 | 3440 | 4090 | 119% |
| 40 | 3640 | 4385 | 120% |
| 60 | 3900 | 4885 | 125% |
| 週令 | 20 | 23 | 40 | 50 | 60 |
|---|---|---|---|---|---|
| 配雄率(%) | 9.5〜8.5 | 8.5 | 8.0 | 7.5 | 7.0〜6.5 |
成鶏後半における受精率の持続のために、他ロットの若雄をスパイキングとして用いることは防疫上の問題もあり、同ロットの雄を鶏舎間で入れ換えるイントラスパイキングをお勧めします。
イントラスパイキングの方法および注意点
- 同ロットにおける鶏舎間もしくはペンで鶏舎内が仕切られている場合に有効です。
- 実施前に各棟もしくは各ペンの受精率を把握しておきます。
- 移動前に駄鶏を淘汰します。
- 各棟、各ペンで25%の雄を抽出し、入れ換えます。
- 作業は鶏群が落ち着いた午後に、鶏をなるべく騒がせないように実施します。
- 雄を捕まえる時は、傷をつけないように両手で捕鳥します。
- 雄を抽出、解放する時は鶏舎ないしペン全体で実施して下さい。
- 実施後に交尾活動の変化や受精率の確認(10〜14日後)を必ず行って下さい。
雄の管理のポイント
育成期
- 適正なデビーク
- 適正な給餌・給水スペースと収容密度の確保
- 適正な体重誘導
- 選抜・淘汰の実施による適正な配雄率
- 誤鑑を取り除く
成鶏期
- 雌雄分離給餌の早期確立
- 毎週の体重推移の把握と給餌量の調整
- 床面管理
- 適正な配雄率
- 各ペンの定期的な受精率のチェック

