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ブロイラー飼育管理マニュアル
Z.防暑対策について
鶏は、幼雛時の保温を必要とする時期を経過した後は、高い環境温度に対して弱く、食下量の減少、体重の停滞、ついには熱射病にまで至りますので、被害を最小限に抑えるための防暑対策を行う必要があります。夏場において、肥育成績で高い収益性を得るために充分な防暑対策を行います。
※ 環境温度と体重には負の相関があります
Z−1.鶏は暑さに弱い
鶏には汗腺が殆どなく、全身が羽に覆われ、蒸散による体熱の放散(熱)が困難です。そこで鶏は、口を開けてパンチングをしたり、多量の水を飲んだり、砂浴びによって体温の低下を計ります。従って、管理によって環境温度及び体感温度を低下させることが必要です。
Z−2.熱射病についての基礎知識
- 熱射病の発生時期
- 梅雨明け直後、梅雨の中休み、戻り梅雨明け、フェーン現象、3〜4日雨などで涼しい日が続いた直後などの急激な気温の上昇時に発生しやすいです。
- 30日令頃から出荷までの時期に発生することが多く、体重の重い鶏ほど被害が大きくなります。
- 暑さに対する生理的反応
- 高温環境下で呼気による蒸散量が追いつかなくなり、体熱の蓄積により体温が上昇した状態です。
- 高温高湿度では、低湿度より呼気による蒸散量が減少し、それに伴って体温の上昇が生じます。
- 体温の上昇が限界をこえて極度(47℃以上)に達すれば死に至ります
- 熱射病対策の基本
- 飲水量と水温
- 飲水量は飼料摂取量の約2倍ですが、環境温度の上昇に伴い放熱作用(蒸散)が増大します。体内水分の放出量が増加するに従い、鶏は体液濃度の均衡を保つため、水の要求量が増えます。
- 鶏は水温10〜13℃を好み、水温が32〜35℃になると飲水量は著しく減少します。水温が低く、豊富な給水量が必要です。
- 送風
- 鶏に風を直接当てて体感温度を下げます。
- 鶏舎内の風の流れを充分に把握し、適度の風が常時鶏に当たるようにします。
- 風速は1〜3m/秒を目安にします。
- 鶏舎内への熱侵入を少なくする
- 鶏舎内へ侵入する熱は、外気温度と外気温度による鶏舎受熱面の上昇温度の和(相当外気温度)に影響されます。
- 熱の侵入防止を考える時、相当外気温度を外気温度に近付けることと、舎内侵入を少なくすることが重要です。
- 相当外気温度は鶏舎の外装材の質や屋根・壁の構造により影響されます。
- 鶏舎内での熱発生を少なくする
- 鶏舎内での熱発生は、鶏の体熱によるものです。
収容羽数が多くなると、熱発生量も大きくなると同時に、鶏の行動は抑制され、鶏と床の間の熱気は滞留しがちとなり、鶏の受ける体感温度は上昇します。 - 飼料摂取後、熱増加(飼料摂取に伴い熱が発生すること)により舎内温度が上昇します。
- 夏期の収容羽数を冬場より少なくし、温度の高い日中は給餌器を上げて熱増加を防ぐとともに通風をよくし、温度の下がった時期に給餌します。
- 鶏の熱生産量は、舎内の照明を明から暗にすると急速に低下します。また、暗から明にすると急速に上昇します。この生理反応を利用してウインドレス鶏舎では昼夜逆転照明する方法もあります。
- 鶏の健康状態と熱射病
| 温度(℃) | 20 | 20 | 24 | 24 | 34 | 34 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 湿度(%) | 40 | 87 | 40 | 84 | 40 | 90 |
| 蒸散放熱の全放熱への割合(%) | 25 | 25 | 50 | 22 | 80 | 39 |
飲水量は、温度が20〜32℃の時、1℃上がる毎に6%増加します。32〜38%℃の間では、1℃上がる毎に5%増加します。
| 水温(℃) | 4 | 20 | 40 |
|---|---|---|---|
| 飲水量(ml/羽) | 186 | 214 | 120 |
| 飼料摂取量(g/羽) | 108 | 106 | 52 |
| 産卵率(%) | 72 | 73 | 12 |
| 気温℃ | 相対湿度 | 風速(m/秒) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 0.5 | 1.0 | 1.5 | 2.0 | 2.5 | ||
| 35.0 | 50% | 35.0 | 35.2 | 26.6 | 24.4 | 23.3 | 22.2 |
| 35.0 | 70% | 38.3 | 35.5 | 30.5 | 28.8 | 26.1 | 24.4 |
| 32.2 | 50% | 32.2 | 29.4 | 25.5 | 23.8 | 22.7 | 21.1 |
| 32.2 | 70% | 35.5 | 32.7 | 28.8 | 27.2 | 25.5 | 23.3 |
| 29.4 | 50% | 29.4 | 26.6 | 24.4 | 22.8 | 21.1 | 20.0 |
| 29.4 | 70% | 31.6 | 30.0 | 27.2 | 25.5 | 24.4 | 23.3 |
| 26.6 | 50% | 26.6 | 24.4 | 22.2 | 21.1 | 18.9 | 18.3 |
| 26.6 | 70% | 28.3 | 26.1 | 24.4 | 23.3 | 20.5 | 19.4 |
| 23.9 | 50% | 23.9 | 22.8 | 21.1 | 20.0 | 17.7 | 16.6 |
| 23.9 | 70% | 25.5 | 24.4 | 23.3 | 22.2 | 20.0 | 18.8 |
| トタン板の色 | 表面温度(℃ |
|---|---|
| 黒 | 54 |
| 青 | 45 |
| 赤 | 44 |
| 茶 | 44 |
| 黄 | 40 |
| やや錆びたトタン | 40 |
| 白 | 34 |
| シルバー | 33 |
| 屋根の構造 | 侵入熱量(Kcal/時) |
|---|---|
| トタン板のみ | 12,600 |
| トタン板+白色塗装 | 7,100 |
| トタン板+ベニヤ板 | 8,200 |
| トタン板+白色塗装+ベニヤ板 | 4,650 |
| トタン板+グラスウール 40mm+ベニヤ板 | 1,320 |
| 鶏の状態 | 睡眠 | 覚醒 | 飼料摂取 | 身震い |
|---|---|---|---|---|
| 熱生産 | 100 | 112 | 148 | 230 |
鶏の健康状態が悪いと暑さに対する抵抗力も低下しており、熱射病にかかりやすくなりますので健康な雛作りが重要です。
Z−3.防暑対策の実際
- 天気予報に注意します。
- フェーン現象に対する対策について
- 防暑対策の具体策
- クールセルの利用
- 高温な外気が、湿めらされたクールセルパッドを通過することで気化冷却により、舎内温度の低下が図れます。
- 縦引き換気により速い風速が得られます。
- 気化冷却の効果を発揮させるために、クールセルパッドを均一に湿らせることが大切です。クールセルを使用すると湿度が上がるので、特に入気部周辺の床面状態に注意して下さい。
- 鶏舎への適切な入気風速を得るため、入気面積の調整ができるように昇降カーテンを設置します。
* 鶏舎の隙間を塞ぎ、気密性を保つことが重要です。 - 細霧システムの利用
- 空気中に噴霧された細かい水滴が気化するときの冷却現象により、舎内温度の低下が図れます。
- 鶏舎幅が12m以下では、細霧ラインを2列設けます。
- 各ラインは側壁より鶏舎幅の1/3の距離に設置します。
- 12m以上では、ラインを3列に増やします。(間隔は均等)。
- ノズルは、各ライン3m間隔で、双方のラインで千鳥にします。
- 細霧は28℃以上が運転の目安です。
- 細霧ノズルの目詰まりを防ぐ為に水質のきれいなものを使用します。
- 充分な水量と、気化した空気を鶏舎外に排出出来る換気扇能力を確保して下さい。
- 給水
- 鶏がいつでも容易に充分な量を飲水できるように、給水器の数と場所に注意します。
- できるだけ冷たい水を飲ませます。
- 給水タンク、給水パイプ、シスタンクを断熱材で覆います。
- タンクに氷、ドライアイスを入れます。
- クーラーシステム(ニップル)を活用します。
- 送風(鶏周囲の空気のよどみをなくします。)
- オープン鶏舎
- ウインドレス鶏舎(横引き陰圧換気)
- 入・排気側の中間に設置します。(2枚以上の場合は、等間隔に設置)
- 間口4間をこえる鶏舎ではシートを2枚使用します。
- ビニールシートは、風に揺れないように固定します。
- 風速が鶏の高さで上がります。
- 鶏舎内への熱侵入を少なくします。
- 鶏舎内での熱発生を少なくします。
- 舎内温度を下げます。
- 機器の点検・整備
- 換気扇、扇風機の点検・整備
- 換気扇の制御装置の点検・整備
- 警報装置の点検・整備
- 自家発電機の点検・整備
- 換気扇・扇風機の個々に漏電ブレーカーの設置
- 電気設備を増設した場合に受電容量の確認
- 配線の被覆・老朽確認
- 熱射病発生農場の後悔と対策
熱射病の被害を最小限に抑えるためには、天気予報をテレビ、ラジオ、新聞、インターネット等で常に調べ防暑対策の準備を進めておくことが必要です。
対応が遅れたために被害が発生することがあります。夏場の防暑対策でなくてもウインドレス鶏舎では換気扇の作動台数を増やしたり、オープン鶏舎ではカーテンを全開することにより防ぐことができます。
* クールセルによる冷却効果が活かされます
現状、行われている防暑対策で舎内温度と風速による鶏の体感温度の低下に 有効な方法はクールセル方式です。
例)外気温が35.6℃、相対湿度63%の空気がパッドを通過した場合6.1℃温度が低下します。(温度は29.5℃となり相対湿度が上昇します)
舎内は風速2m/秒の風が排気側に流れているのでさらに体感温度が下がります。
◎ 鶏の体感温度を下げる
※ 湿度を上げてしまうことよりも、体感温度を下げる効果の方が勝ります。
A.扇風機やダクトファンなどの送風機を利用します。
B.ストレートファン・パワーファンの風速分布
・ストレートファン(羽根径30cm、単相100‐200V、三相200V、250W)
・パワーファン(羽根径50cm、単相100V、三相200V、250W)
C.送風機の設置方法について
90cmファンはわずか1m後ろの空気を引き込み、それを12m先に飛ばします。また、90cmファンが攪拌できる距離は最大でも2.2mに過ぎません。 床面からの高さは1mが良いでしょう。 ファンの高さが床面から2.2m離れると暖かい空気の層が作られてしまいます。
送風機が舎内へ吹き込んでくる風を、舎内を横断させて行き渡らせます。送風機は側面において60度の角度で固定し側面からの距離は1m以内です。 舎内へムラなく風が通ります。(鶏舎外の風向に注意して設置して下さい。)
鶏舎中央を縦断して、空気を攪拌します。 新鮮な空気を取り込むため、最初のファンはドアから1m以内に設置します。 配置例1.より空気交換効率は劣りますが、巾の広い鶏舎では、2列、3列と台数を増やし、細霧装置と併用します。 ファン同士は12m離して設置して下さい。 舎内へムラなく風が通りますが、妻側の壁にも送風機を設置すると空気の通りがさらに良くなります。
送風機がジグザグ(千鳥状)に配置されている例です。 空気交換はなされません。(お互いの送風機に影響されます) 鶏は暑く新鮮でない空気に晒されます。 風速を確保できる範囲は非常に限られています。
D.鶏舎周囲の丈の高い草は刈り取り、通風を良くします。
A.ビニールシートの活用
○ 温度の高い日中は、給餌器を上にあげて風通しを良くします。
○ 熱帯夜には日中の対策を継続し、給餌器は降ろします。
@ オープン鶏舎
A.トタン屋根やトタン壁の塗装を白系統のペイントで塗ります。
B.スレート屋根の場合は、白色セメントと石灰を混ぜて屋根に塗ります。 (水200gに消石灰60kg、白セメント60kg、接着剤少量)
C.トタン屋根の下に断熱材を張ります。
D.樹木により日陰をつくります。樹は、落葉樹(桐、ポプラ等)を植えます。
E.ウリ科のつる性一年草(へちま、ひょうたん、カボチャ)などで日影を作ります。
F.遮光ネットで日影を作ります。(風通しが悪くならないようにします。)
G.天井がある場合、換気扇を用い天井裏の熱気を排気します。
H.スプリンクラーなどを利用し、屋根に散水します。(充分な水量を確保し、外気温が低下する時間帯まで継続)
ウインドレス鶏舎
A.入気口側に樹木を植えます。
B.入気口側にへちま、ひょうたんなどを植えます。
C.入気口側に遮光ネットを張ります。
D.入気口側に散水します。
E.スプリンクラー等で屋根に散水します。 (充分な水量を確保し、外気温が低下する時間帯まで継続)
@ オープン鶏舎
A.収容密度を薄くします。
B.温度の高い日中は、給餌器を上げて温度が下がった時間帯に給餌します。
A ウインドレス鶏舎
A.収容密度を薄くします。
B.温度の高い日中は、給餌器を上げて温度が下がった時間帯に給餌します。
C.日中は電灯を消します。
◎ 細霧システムを用い、気化熱利用により室温を低下させます。
機器が正しく作動するか前もって点検・整備しておきます
◎ 1つの方法のみでなく、数種類の組み合わせでやるのが被害を少なくする ための必要条件です。
例1) 横引きウインドレス鶏舎の場合(舎外)
入気口側の軒に寒冷紗を渡し(日よけ)スプリンクラーで散水します。
例2) 二階建て横引きのウインドレス鶏舎の場合
舎外の入気口側で寒冷紗による日よけと更に散水により入る空気を冷却します。また、舎内では、ビニールシートを使い鶏の位置での風速を速めます。
例3)横引きウインドレスの場合(舎内)
舎内の風速を上げる為にビニールシートを使用します。舎外で散水、散霧をしていない場合、舎内で散霧します。ノズルの設置は、入気口側と中央部に設置します。
例4) オープン鶏舎の場合
舎外に日よけの樹木(落葉樹)を植えて外からの侵入熱を防止します。更に、舎内では、送風機を縦列に配置し細霧装置で温度を下げた空気を送風します。また、日中には、給餌器を上げて風通しを良くし、採食による体温の上昇を防ぎます。
| 後悔要因 | 対 策 |
|---|---|
| 1.油断(38%) | ・天気予報(週間予報)を必見 ・入雛までに対策完了 ・鶏舎を離れない |
| 2.送風不足(18%) | ・換気扇、扇風機の増強 ・陽圧換気 |
| 3.飼育密度(16%) | ・適正密度の入出荷計画 |
| 4.点検不足(11%) | ・定期保安点検・高温警報機の設置 |
| 5.散水不足( 8%) | ・設備の追加 ・使用水の確保 |
| 6.飲水不備( 5%) | ・飲水温を下げる ・給水スペースの追加 |
| 7.鶏の体力( 4%) | ・ビタミン剤の投与 ・鶏病、床面の改善 |
※夏期におけるビタミン剤、重曹(0.3%飲水)の投与

